今回ご紹介する本は、群ようこさんの「毛糸に恋した」という本です。
編み物好きな彼女のエッセイは、編み物あるあるだけでなく編み物の貴重な知識も満載。
長年編み物をしてきた彼女だからこその内容です。
例えば
「棒針編みなら400グラムで一着できるところを、かぎ針編みで目をきっちり編むと600グラムは必要です」(p13 下段15行目)
とか
「オーソドックスな丸首のセーターの場合、自分の編みたい身幅で、毛糸玉一個につき丈が十センチ編めれば、その十倍の重量で一着できる」(p81 上段7行目)
なんて、初めて聞く情報でとてもためになりました。
それから、洗濯の仕方も丁寧に書いてあります。
「手編みのセーターは、干す前の整え方でかなり形の修正ができます。洗って軽く脱水をしたあと、テーブルの上にセーターを広げて型紙どおりに整えるんです。たとえば袖幅が狭いと引っぱって広げたり、袖が短いと延ばしたり。そうしてしばらくねかせておくのです。編む手がゆるい人なら形の融通が効くこと、これも手編みの良さだと思います」(p84 下段15行目)
一般的には、セーターをアイロン台にピンで留めて、スチームアイロンをかけて形を整えるのですが、型紙を使っているのであればこの方法で簡単に形を整えられますね。
ただし、ペンで型紙に書いている場合は、それがセーターに写らないように注意ですね。
後半には、編み物仲間との楽しいお話もあります。
それぞれの編み物に対するこだわりが垣間見られてとても面白いです。
例えば、決断と妥協のポイント。
襟などの拾い目をしたときに、穴が開くのがどうしても我慢できない人や、気に入らない箇所があると全部ほどいてしまう人(群氏)など、各々のこだわりポイントに編み物って性格が出るな~と改めて思いました。
私自身も気に入らないと全部ほどいていましたが、今後はなるべくほどかずにそこからどう修正していくかというのを研究していこうと思っています。
また、楽しいお話の中でそれぞれの編むときの格好が出ていきますが、編み物あるある的で面白かったです。
そして、この本の中で一番印象に残っているのが、残り糸の使い方です。
群ようこさんが編んだものではないですが、もはや残り糸ではないといった素敵なセーターが出てきます。
余り糸だけでなく、新たに糸を買い足したりもしているそうですが、どれが余り糸なのか全くわかりません。
こんなに余り糸を上手に活用している例を他に見たことがないくらいです。
残り糸活用というのは、編み物をする人にとって永遠のテーマではないかと思えるほど頭を悩ませるのでとても参考になりました。
久しぶりに読み返してみて、とてもいい本だなと改めて思いました。
読書好きな私としては、本からも編み物について色々と学べるのはとても嬉しいです。